講演中、受講者の目の色(?)で、興味関心のレベルがわかります。
あ、今興味レベル下がったな。とか、あ、集中してるな。という感じで。
受講者さんの集中力が弱まってきたり、興味レベルが低下してきた際に、私がいつも行う事があります。
それは「2つ以上の感覚器を同時に作動させる」という事。
これは講演以外にも応用可能。今日はその事象をリピート創りに応用したお話をしたいと思います。
「拡げて新規集客する」だけがクチコミの役割ではない
お客様のクチコミを上手に活用しましょう!
というと、どうも「拡散」「新規集客」のイメージを持つ人が多いですが、クチコミというのは顧客リピートにも欠かせない顧客行動。
エビングハウスの忘却曲線
という法則をご存知でしょうか?
人は見たり聞いたりした事を、20分後には42%、24時間後には74%という驚異的なスピードで忘却していく。しかし、忘却中に再度記憶に蘇った情報は、その後忘却スピードが鈍化する。
というものです。
(だから復習が大切なんですね)
再三再四お話ししていますが、顧客リピートに欠かせないこと、それは「思い出してもらう」という行為。そのためには、商品やサービスの記憶をしっかり定着させてもらう必要があります。
実は、体験した事や使用したサービス、利用したお店のクチコミを行うという行為は<その際の記憶を再び蘇らせる>という行為。つまり、クチコミする側の記憶強化をもたらす(=リピート率を上昇させる)事につながるのです。
クチコミを躊躇してしまう理由
しかし、思った程お客様はクチコミしてくれないのが現実。その理由の1つが<相手の無関心状態>への恐怖。
よっぽどの興味がない限り、人は他人の話を真剣に聞こうとしません。いや、聞けないと言った方がいいかもしれません。
例えば、
「いやぁ、昨日行ったカレー屋さんがさぁ」
なんてクチコミが始まったとしましょう。
すると、クチコミを聞いている人の頭の中では次々と思考の連鎖が起こり始めます。
『カレーかぁ、そういえばこの前行ったカレー屋さん美味しかったなぁ。あの居酒屋の横にある』
『あ、居酒屋と言えば!今度の懇親会の会場、早く予約しておかないと!すっかり忘れてたよ』
『ところで、懇親会って何人来るんだろう?確認しないと』
『えーっと、いつ確認しよう。今電話して聞こうかな』
『んー、早く電話したい』
というように、クチコミを発する側から出た「カレー」というキーワードを起点に、次々と思考が連鎖&飛躍していきます。
クチコミを発している側がこの状況を目の当たりにすると、
「あぁ、自分の話に興味無いみたいだな」
という風に感じてしまい、話が尻すぼみになっていきます。
相手の興味が薄いな。そう感じると、以後積極的なクチコミを行う確率は減少していきます。
相手の「思考の連鎖」を止める方法
別に興味がないわけじゃない。でも受け手に思考の連鎖が起こってしまい、結局興味がないような空気感になってしまう。
この状況を打破する一手があります。
それは「聴覚以外の感覚から同時入力を行う」という手法です。
クチコミというのは、当然聴覚がメインになります。1つの感覚器から入力される情報というのは、思考と切り離す事が可能ですから、
「友達の話をなんとなく聞いている風を装って、頭では別の事を考え続ける」
という事が可能になります。
(クチコミを発している人からすると、すぐ解っちゃうのですが)
しかし、聴覚と同時に視覚からの情報を入力した時、この行為が出来なくなります。上述の「カレー→居酒屋→懇親会予約→人数確認→電話したい」と、思考の連鎖が進んでいったクチコミの受け手に
「ここのお店なんだけどさ」
と、ショップカードを手渡したらどうなるでしょう?
「へー、ここねぇ」
と、思考の連鎖が一時ストップし、クチコミの内容に意識が(強制的に)向いてしまうのです。
視覚の他、味覚でも嗅覚でも触覚でもかまいません。とにかく、聴覚以外の感覚を同時にインプットしてもらうのです。
すると、自分の話を聞いてくれているという安心感から、クチコミが活発になる。というわけです。
聴覚以外の情報をお客様に提供しているか
上記、クチコミによる(発する側の)記憶強化を行うために、やらなければいけない事、見えましたね。
それは
クチコミして下さるお客様に対し、聴覚以外で伝達する情報源を提供する
という事。
視覚を活用する「パンフレットやショップカード」の他、触ってもらうためのサンプル(触覚)、嗅いだり食べたりしてもらうサンプル(嗅覚・味覚)をクチコミの発し手となるお客様に意図的にお渡ししてください。
誰だって、自分の話を聞いてくれる人には熱心に話すものです。
クチコミを聞いてくれている!という安心感でしっかりクチコミをして頂き、クチコミをしながら記憶の強化を行ってもらう。
そのためには、このような工夫が有効なのです。
是非お試しください。