vol.22分解

私は現在、年間でホテルに300泊以上します。殆どの都市にお気に入りの定宿があるのですが、たまに初めて行く都市では、ちょっと色々なホテルを試したりもします。

その際に、「お!」と思う事や「あぁ、、、」と思う事が。

今日はそんな気づきから、リピーター作りの基本をお伝えさせて頂きます。

シャンプーを置く場所でホテルの質がわかる

私は、ホテルの質はバスルームでわかる。そう考えています。質というのは、グレードが高い低いではなく、そのホテルの経営姿勢という意味で。

 

デスクやベッド等の調度品は、清潔感ある仕上げにしておけば全く問題ありません。見た目重視といってもよいでしょう。
しかし、バスルームはそうではありません。

 

シャワーを浴びたらシャワーの風圧でシャワーカーテンが身体に纏わりつく。浴槽の角あたりに置いてあるポンプ式のシャンプーを出そうとしたら、ツルッと滑って浴槽の中にボトルが転げ落ちる。バスタオルをかけておく場所が少し遠いので、床が水浸しになる。

等々。

 
実は、バスルームというのは実際に使用してみないと不便な箇所を発見できません。見た目を整えておけば良い、という性質の部屋ではないのです。

 

 

実際に使ってみるのがベストだけれども

本来ならば、Vol.10で書いたように「実際に従業員が使用する」というプロセスを経て、改善を繰り返すのがベストです。

 
【参考】
vol.10 「使ったことのない商品」を売ってはイケナイ。

https://note.mu/katsuhikoichien/n/n6dc3e902dd8a?magazine_key=mfd9564699295

 
しかし、物理的に難しい場合もあるでしょうし、自社の商品だから多少のひいき目が生じる可能性もあります。

この様な場合、どうすれば「実際に使用しているイメージ」を持って改善を行う事ができるのでしょう。

 
それは「動作の1つ1つを細かく分解する」作業を行う事です。私がコンサルティングの場で「一挙手一投足の分解」と呼んでいる手法をお伝えします。

 

 

「一挙手一投足の分解」とは

先ほど例に挙げたバスルームであれば、シャワーを浴びるシチュエーションを想像しながら

・服を脱ぐ
・脱いだ服を置く
・(ユニットバスの場合)浴槽に入る
・シャワーカーテンを引く
・お湯を出す
・お湯が出た事を確認して水を出す
・湯加減を調節する
・カランからシャワーに切り替える
・シャワーの向きを変える
・身体前面に浴びる
・身体背面に浴びる
・頭に浴びる
・シャンプーを手に取る
等々・・・

お客様の一挙手一投足、全てを分解していきます。その際、付箋に書いておくと後から並べ替え等ができて便利です。

分解作業が終了したらその1枚1枚につき、自社が提供するサービス(この場合はバスルームの造り)が適切かどうか。を評価していきます。

 

 

あらゆる業種に応用可能な「分解作業」

これは別にホテルのバスルームに限った話ではありません。如何なる業種にも当てはまります。
飲食店であれば

・ドアから入店される
・入口付近で席を探す
・スタッフと目を合わせる
・ご案内した席に着席される
・荷物を隣の椅子に置かれる
・コートを脱がれる
・メニューをご覧になる
・スタッフを探す
・注文する
・お水を口にする
等々・・・

その他どのような職種においても、この一挙手一投足分解を行う事が重要です。

また、上記はお客様の立場での分解作業ですが、スタッフの立場としての分解作業を同時に行うと尚良いでしょう。

 

 

「分解」が終わったら「並べ替え」てみる

一挙手一投足分解が終わったら、実際の行動をイメージしながら並べ替えを行っていきます。

すると、

「この流れだったら、バスタオルはここに置いておいた方が良いな」

「このタイミングでコートを脱いで頂いた方が親切かも」

「最初にコレをお渡ししておいた方がお客様は便利だな」

等の改善点が発見されます。

 

 

この作業を「近未来の時系列アプローチ」と呼んでいます。この「時系列アプローチ」ができるようになると、今度は

「本来の時系列アプローチ」

を容易に行う事ができます。

 

今日この商品を買われたお客様、1ヶ月後にはこのような欲求が生まれているかもしれないな。だから、1ヶ月後には〇〇を提案しよう。

これが「時系列アプローチ」。

 
私が提唱する【3パターンのリピーター(同経験・異経験・時系列)】のうち、時系列のリピーターを作る素地となるのです。
時系列のリピーターについての詳細はまた後日お伝えします。

 

是非とも【一挙手一投足の分解】【近未来の時系列アプローチ】に取り組んでみて下さい。

 


2014/11/06

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