お客様は欲しいと思っているモノを手に入れたいのではなく、それを使って何かを行い、そして何らかの理想を実現したいと考えている。
その理想を実現するちょっとしたお手伝いが「顧客満足」を生む。というお話しをよくさせて頂きます。
この考え方、BtoCの場合は比較的解り易いのですが、BtoBの商取引となると、少し考え方のコツと切り口が必要となります。
今日はBtoBの「顧客満足」についてお伝えします。
<BtoC>と<BtoB>では「顧客満足」の考え方が異なる
ケーキ屋さんでホールケーキを眺めているお客様(女性)に
「どなたかのお祝いですか?」
とお声掛けをしたところ
「えぇ、息子の誕生日なんです」
とのお返事。購入されたケーキとともに、紙製の写真台紙にもなるメッセージカードを手渡し、
「是非お写真撮って、大切な思い出を1枚作っておいてくださいね。素敵なお誕生日を」
とお声掛け。
ざっくり過ぎではありますが、この流れが「顧客満足」にたどり着くためのポイントです。
お客様はケーキ(ニーズ)が欲しいのではなく、ケーキで息子の誕生日をお祝いして(ウォンツ)、楽しい時間と思い出を作りたいとお考え(ウィッシュ)である。だから、楽しい時間と思い出を作るためのお手伝いをする。
これが、私が常々お伝えしているBtoCビジネスの「ウィッシュ」思考です。
これがBtoBになった場合、考え方が少し変わります。
法人には2つの「ウィッシュ」が眠っている
例えば貴方が扱っている商品が「企業の経費削減ができるソフトウェア」だったとしましょう。商品には絶対の自信を持っています。さぁ、営業をしよう!と意気込んで企業を訪問し始めるワケですが、ここで注意すべきポイント。
それは
商談相手が「経営者」or「担当者」??
という事。
実は「経営者」と「担当者」では持っている「ウィッシュ」、つまり「顧客満足」のポイントが全く違うのです。法人には2つの「ウィッシュ」が眠っています。
「経営者」のウィッシュは「法人そのもの」のウィッシュ
「このソフトウェアを導入すれば、間違いなく御社のコストダウンが実現し、利益向上に貢献できます」
この提案に「!」と来るのは、経営者<のみ>です。
コストダウンにより、利益向上を実現できる。このウィッシュは「法人」のウィッシュ。つまり「経営者」のウィッシュです。
「いいねぇ、詳しく聞かせてくれ」
と、話が進んでいく事でしょう。これは相手が「経営者」の場合のみに効果がある商談パターンです。
しかし、商談相手が担当者の場合にもかかわらず、一生懸命に「コストダウンで利益向上」<のみ>を訴えて交渉を進めようとする人が(少なからず)いらっしゃいます。
「担当者」のウィッシュはソコにはありませんから、これでは弱いのです。仮に取引が成立しても「顧客満足」を得ることは難しくなります。では、「担当者」のウィッシュというものは何処にあるのでしょう?
良い・悪いではなく「担当者」のウィッシュは
担当者は
・ビジネスの世界
・会社組織の世界
の2つの世界を生きています。前述の「コストダウンで利益向上」というのは、前者<ビジネスの世界>のウィッシュ。では<会社組織の世界>のウィッシュとは何か。それは
・社内での評価
・自身(個人)のメリット
この2つです。
担当者の方でも、会社のため・社会のため使命感を持って商品のジャッジをされている方は沢山いらっしゃいます。しかし一定数の割合で、貴方が提案する商品を導入した際「担当者としての<ウィッシュ>がどれだけ満たされるか」をポイントとされる方がいらっしゃいます。
これを導入したら自分の社内評価はどうなるのか?(違法性が無いのは当然ですが)自分個人に何かメリットがあるのか?
これを無意識にチェックしてしまうのが<人間>なのです。
売上が倍増した<担当者>のウィッシュ戦略
私が過去に経営していたリサイクルトナーカートリッジ販売会社の事例です。あるキャンペーンが大当たりし、売り上げが倍増しました。
消耗品であるトナーカートリッジは、多くの場合、総務の方や、事務スタッフの方から注文を頂きます。その発注担当者の方の<ウィッシュ>を満たす以下のキャンペーンを行いました。
・面倒な交換作業やごみの片付けは私たちが行います
・「カントリーマアム(お菓子)」をプレゼントします
これだけです。
詳しくは書きませんが、リサイクルでコスト削減!ではない「担当者ウィッシュ」への訴求を行ったのです。
「経営者」と「担当者」。それぞれのウィッシュを満たす提案ができていますか?